仕事で思わぬトラブルに遭遇し、
どう対処すればよいか悩んだ経験はありませんか?
私はクライアントとの予期せぬ問題を通じて
仕事への向き合い方が大きく変わりました。
「相手の悩みに真摯に向き合う」
これが私がずっと大切にしたい仕事への向き合い方です。
いつも通りの毎日から一変した日

毎朝目覚め、支度をしてオフィスに向かう。
メールの確認、ミーティング、やるべきタスクが積み重なる。
目の前の業務を効率的にこなしていく。
期限が決まっているのだから、
効率的に行い、期限内に完了させることは当然。
そんないつもと変わらない毎日に
予期せぬ瞬間が訪れたのは、ある秋の日のこと。
予期せぬ異変

クライアントとの定期ミーティングの後、
クライアントのTさんが時々ミーティングに顔を出す
Tさんの上司からお叱りを受けている光景を目にしたのです。
Tさんの表情もTさんの上司の様子も見たことがない姿でした。
何かが起きている・・・
Tさんがその業務に不慣れなことや
その業務に詳しい人が周りにいないことは知っていました。
もちろん、Tさんの上司も詳しくありません。
それぞれに担当があり、
Tさんはその業務を一任されていました。
そこで、それとなくTさんに聞いてみることにしました。
目撃してしまったことは内緒にして。
Tさんが口にした一言。
「実は…このまま進むと想定している完成イメージに
ならない可能性があります」
見えてきた真実と複雑な事情

それまでは、何事もなく順調に進んでいるかのように
見えていました。
TさんやTさんの上司の話から推測するに、
最初に完成イメージを我々にうまく伝えることができていなかったよう。
進めていくにつれて、少しずつ見えてきて気付いたことがあるのでしょう。
そのほか、こちらもTさんたちのニーズを十分に引き出せていなかった
ということもあるでしょう。
契約締結時に、完成イメージを双方で確認し、
そこから逆算して見積もりや期限が決まっていました。
それを変更するのは簡単なことではありません。
Tさんの会社の都合と我々の都合の両方を調整することが
必要になってきます。
したがって、Tさんの上司はTさんに
「とにかくもっと頑張るように」
「今の契約の範囲内ぎりぎりまで我々になんとか助けてもらうように」
「予定通り完遂するように」と。
Tさんは上司の期待に応えなければならないプレッシャーがあり、
つらい立場に置かれているのは容易に想像できました
解決へと導いた「信頼」と「協力」

状況が分かったところで、
完成イメージのすり合わせと業務量を再確認すると
我々にとっても厳しい状況だとわかりました。
ですが、お互いが納得したものが完成できなければ
結局、誰も嬉しくありません。
Tさんが信頼を寄せてくれていることを感じ、
その信頼に応えたいと思いました。
業務にただ向き合うのではなく、
「Tさんの悩みに真摯に向き合う」というスタンスで。
それからは、どのように解決すべきか、
その方法に悩む日々が続きます。
そんな中、Tさんと話し合いを重ねるうちに
問題の本質が見えてきました。
一人では解決できない複雑な問題でも、
問題を共有し、共に知恵を絞り、解決策を考え、
少しずつゴールへの道筋が見えてきたのです。
本当のやりがいとは

危機的な状況を乗り越え、最後にTさんをはじめTさんの上司から
感謝と同時に非常に喜んでもらえたことが
何よりも嬉しく感じました。
このことは大きな達成感と充実感をもたらしてくれました。
業務を適切に遂行することはもちろん価値あることですが、
お互いに満足する結果を共有できた喜びは何物にも代えがたい。
そして、最も価値があったのは、
「お互いに信頼し、共通のゴールへ向かい、
最後には喜びを分かち合えること」の価値を知ったこと。
これこそが本当のやりがいだったのです。
今も大切にしていること

この経験以来、私の仕事への向き合い方は根本的に変わりました。
効率的かつ適切に業務を行うことは当然のこととして、
それ以上に大切にしているのは
「相手の悩みに真摯に向き合う」ことです。
何に困っているのか、どんなプレッシャーを抱えているのか、
表面的な要望の奥にある本当のニーズは何なのか。
「信頼し合える関係の中で生まれる共同の成果によって、
お互いがハッピーになれる」
こんな素晴らしいことがあるでしょうか。
「相手の悩みに真摯に向き合う」姿勢は
ずっと大切にしていきたいと思っています。